※ネタバレを含みます
セダムを聞いて儚い気持ちになり、
如くの旅立ちの歌で躁になる。造られた情緒不安定、MiDです。

ハンドラの真エンドは、賛否両論だと思うんです。
主人公が死んでしまう物語で、
SFエンドというハッピーエンドがあるとはいえ、
逆に言えば真エンドの死もTLのひとつである。
とても悪く言えば茶番。
神・小高さん曰く、全てのエンディングを体験せずとも、
自分が納得した時点で物語の終わりだ、とのことですが、
面白すぎて途中で終わることもできないときた。
私は真エンドの儚くも美しいエンディングと
最高のハッピーエンドであるSFエンドが、
ハンドラの世界を網羅していて、最高傑作だとは思いつつも、
唯一真エンドの拓海らの狼狽えには共感できなかったんですよね。
あとサバルートは通さない。
拓海らが躊躇ったのは「自分たちが侵略戦争のための人造人間であった」
「フトゥールム人を全員犠牲にするか、自分たちが犠牲になるか」という真実と選択になります。
見事に一人残らず狼狽えていたのですが、
私は淡々と「人造人間なのは別に良い、フトゥールム人は殲滅しよう」
という考えに至りました。
これは運命を受け入れるというニュアンスではありません。
順に思想に基づいた結論になります。
まず「自分が人造人間だった」という真実。
ハンドラもそうですが、セフィロスとかもこの真実を知って発狂しました。
しかし、自分の誕生のルーツとか割とどうでも良くないですか?
母の腹から出てこようが、
大岩に雷が落ちて割れた中から生まれようが、
自分は自分です。
「戦争のため」と生まれた意味を強制的に与えられることに関しても、
多くの人間はそれを探しながら微不幸に死んでいきます。
もしかしたら何かしら生まれた意味が
与えられた方が幸せなのかもしれません。
生まれた理由と生きる理由は別なので、
生まれた理由が気に食わなければ、生きる理由を上書きすれば良いのです。
まして我駆力なんて超能力があるなら、容易いだろうと。
次に「他を犠牲にするか、自分を犠牲にするか」ですが、
これは人に迷惑をかけずに生きられるか、という問いに近いと思っています。
結論、不可能ですよね。
たとえば仕事が遅れて、同僚に負担をかける、
という現象は想像しやすいので対策もしやすいです。
迷惑がかかる対象も明確ですし。
しかし、たとえばあなたがSwitch2を抽選で当てたとして、
自分が当たらなかったら他の誰かが当たってたんだろうな…とか考えますか?
ほかにはあなたが呼吸するだけで嫌悪する人間がいる可能性は?
蒼月じゃないですが。
人に迷惑をかける可能性を全て排して生きるのは無理です。
なので思想として、人に迷惑をかけるのは良いが、
その倍を恩で返す、と私は考えます。
真エンドに関しても、自分を犠牲にするのは美しいですが、
それで幸福が最大限になるかは別の問題です。
囚人のジレンマに近い概念ですね。
物語では迷った末に
「生きる意味はこれから見つける≒戦争を止めるために命をかける」
「フトゥールムの人を生かすために戦う」という結論になり、
霧藤に全てを託して拓海らは息を引き取ります。
自身の思想とは異なりつつも
霧藤とフトゥールムの子供が最後に握手するシーンで
漂白されただ涙を流した私は、とても良い客です。
迷いも不条理も想いも、なにもかもを呑み込んで、
溢れて零れる感情をあらわす霧藤の涙で物語は締まりました。
すごいよな、こんな作品を人間が創れるなんて。
小高さん人造人間なんじゃないか?

